飲食店のSNS運用は、たいてい「集客のための施策」として語られます。ただ、実際に店舗を経営されている方に伺うと、集客と同じか、それ以上に深刻なのが「人が採れない」という話です。

この記事で取り上げるのは、アサイーボール店 Sugary様のTikTokアカウント運用代行です。運用期間は1年5ヶ月、投稿数は116本。来店を狙って設計した動画が、そのままアルバイト応募の入口としても機能しました。

運用アカウント:tiktok.com/@zizii_acaibowl

この記事でわかること

  • ① 求人媒体ではアルバイトが採れなくなる理由
  • ② 商品ではなく「人」を主役にしたアカウント設計
  • ③ 来店と採用を1つのアカウントで両立させる導線

①課題|新店舗オープンに向けて、アルバイト採用が追いつかない

ご相談をいただいた時点での最大の課題は、集客そのものではなく、新店舗オープンに向けたアルバイト採用の強化でした。

飲食店の採用は、求人媒体に掲載すれば一定の応募は集まります。ただ、掲載費は応募が集まっても集まらなくても発生しますし、掲載を止めた瞬間に応募もゼロに戻ります。条件面はほぼ横並びのため、時給を上げる以外に差をつけにくい構造です。

さらに、条件だけを見て応募した方は「思っていた雰囲気と違った」という理由で早期に辞めてしまうことも少なくありません。採用にかけたコストも、教育にかけた時間も、積み上がらないまま消えていきます。

そこでご提案したのが、採用を前提に置いたSNS運用です。求人票では伝えきれない「どんな人が働いていて、どんな空気の店なのか」を動画で出し続け、条件ではなく店そのものに惹かれた方から応募が届く状態をつくる、という考え方でした。

②施策|「ラーメン屋の店主がアサイーボール店に挑戦する」というギャップで見てもらう

飲食店のSNS運用でよくある失敗が、商品の写真や動画をきれいに撮って並べるだけで終わることです。見た目が整っているだけの投稿は、似た投稿が無数にあるSNSの中では最後まで見てもらえません。

このアカウントで軸に据えたのは、商品ではなく「人」と「物語」でした。

経歴のギャップそのものを、アカウントのストーリーにする

もともとラーメン店を営んでいたオーナーが、まったく畑違いのアサイーボール店のオープンに挑戦する。この経歴のギャップをそのままアカウントの筋書きに置き、開店に向けて試行錯誤する過程を継続的に発信していきました。

「ラーメン屋の店主」×「アサイーボール」という組み合わせに、【アサイージジイ】というキャラクター設計を重ねています。それだけで視聴者の手が止まります。そして一度気になった人は、その挑戦がうまくいくのかを知りたくなり、次の投稿も見に来てくれます。

ラーメン店の店主がアサイーボール店に挑戦する過程を追ったTikTok動画の冒頭カット
冒頭で経歴のギャップを言い切る。商品の説明ではなく、この人の挑戦がどうなるのかを見せる。

単発のバズを狙うのではなく、続きが気になる連載として積み上げました。1年5ヶ月で116本、月6〜7本というペースを崩さなかったことが、月間最高630万回再生につながっています。

来店に繋げたいなら、届ける相手をエリアで絞る

オープン直後の時期は、店舗のあるエリアで実際に来店できる人に届くことを重視した設計にしました。全国に広く薄く再生されるよりも、近隣の視聴者に繰り返し届いたほうが、飲食店にとっては来店という成果に直結するためです。

再生数そのものより、誰に届いた再生数なのかを見る。飲食店の場合はここで結果が変わります。

応募を受け取る導線を、先に用意しておく

同じ動画は、採用の入口としても働きます。働く人の姿や店づくりの裏側が映っていることで、視聴者は応募する前に職場の雰囲気を知ることができます。求人票を見て応募するのではなく、店のファンになった方がそのまま「ここで働きたい」と応募してくださる流れです。

ただ、動画を見ただけでは応募できません。固定投稿に募集要項を載せ、プロフィールから応募フォームへ遷移できるようにしています。応募を受け取る場所を用意していないと、せっかく生まれた関心はそこで途切れます。

アサイーボール店 Sugary様のTikTokアカウント画面 アサイーボール店 Sugary様のInstagramアカウント画面
TikTokとInstagramの両方に同じ人物と物語を置く。プロフィールから募集要項・応募フォームまで一続きにしておく。

③成果|1年5ヶ月でアルバイト応募370人、月間最高630万回再生

370

SNS経由のアルバイト応募(採用者多数)

630万回

月間最高視聴数

116

1年5ヶ月の投稿数(月6〜7本)

1.6万人

TikTokフォロワー数

アサイーボール店 Sugary様での実績。成果を保証するものではありません。フォロワー数は掲載時点のアカウント画面によります。

月間最高630万回再生は、店舗の商圏人口をはるかに超える規模です。この露出が、来店のきっかけとしても、求人の入口としても働きました。

採用面では、応募370人という数そのものより、応募者の質の変化が大きかったと伺っています。動画で店の雰囲気を理解したうえで応募してくださるため、面接で伝えるべきことが少なく、入社後のギャップも起きにくい。求人媒体への掲載費を払い続ける必要もなくなりました。

もちろん、応募が増えた背景には店舗側の受け入れ体制や採用条件も関係しています。SNSだけで説明できる数字ではありません。それでも、応募の入口を求人媒体の外につくれたことが、この運用でいちばん大きかった変化です。

この事例から言える、飲食店のSNS運用のポイント

1. 商品ではなく「人」を主役にする
料理の写真は、どの店舗も同じように投稿しています。差がつくのは、その店にしかいない人と、その人が何に挑戦しているかという物語の部分です。

2. 来店に繋げたいなら、届ける相手をエリアで絞る
再生数が全国に広がっても、来店できない人にばかり届いていては売上は変わりません。商圏の中にいる人へ繰り返し届けることを優先します。

3. 採用のためのSNS運用は、求人を出す前から始まっている
募集を始めてから発信するのでは間に合いません。日常的に店の空気を出し続けているアカウントがあるからこそ、募集をかけた瞬間に応募が集まります。発信の蓄積は、掲載を止めれば消える求人広告と違い、止めたあとも残ります。

飲食店の採用にSNSを使う進め方は飲食店のSNS採用支援に、採用全体の考え方は採用マーケティング支援にまとめています。来店・集客を軸にアカウントを立ち上げる場合は飲食店のSNS運用代行、撮影だけを外に出す場合は飲食店のPOV動画制作をご覧ください。

飲食店のSNS運用・採用のご相談はこちら

「求人媒体に出しても応募が集まらない」「SNSは始めたが成果が出ていない」という飲食店の方は、お気軽にご相談ください。誰に何を届けるかの設計から、御社の店舗に置き換えてご説明します。

無料相談する